邱永漢詳細年譜

作家、事業家。邱永漢氏の詳細な年譜。

2019年10月


1月 
「週刊サンケイ」誌に小林一三および大屋晋三の評伝を連載する(約半年間)。
3月20「奥様はお料理がお好き」を三和図書から刊行する。

4月末 エアーフランスの招待でヨーロッパを1ヶ月旅行する(ハンブルグ、デユッセルドルフ、パリ、ロンドン、ニース、アッシジ、フィレンツェ、ジュネーブ)。ヨーロッパ旅行の帰路香港で妻から手紙によって、二軒目のビルが一年もしないうちに一階を除く二、三、四階のテナントから同時に賃貸借の契約解除を申し込まれてしまったことを知る。羽田空港に迎えに来た夫人に「死にたい」ともらしたところ、夫人から「お金のことで死ぬことはありません。お金には生命をかけるほどの値打ちはありません」と窘められる。

5月6日 恩人、佐藤春夫氏(詩人・小説家逝去。

6月10日 日本経済新聞社から『いどばた論語』を刊行する。
夏 不況の真っ只中「 
何をたよりに生きようか」の連載を始める。

9月15日 南北社から財界の鉱脈を刊行する(のち「日本で最もユニークな経営者小林一三伝」と改題して全集に収録。)

・秋 事務所を引き払って自宅に移り、従業員は経理一人と運転手一人だけにする。
・この年、軽井沢の別荘をつくる。

 (参考)
邱永漢著 『私の金儲け自伝』p156〜163。
同『朝は夜より賢い』p99〜102。

(社会の動き)

1月13日 市村清氏、銀座4丁目角に円筒形ビル“三愛ドリーム・センター”を完成させる。

3月 日本共同証券、初の買い出動に出る。

4月1日 日本、正式にIMF8条国に移行する。

  ・28日、OECDに正式加盟する。

9月17日 浜松町~羽田間モノレール開通する。

10月1日 東海道新幹線が開通する。

   10日 東京オリンピック大会開催する。

11月9日 池田内閣総辞職。佐藤栄作内閣成立。

12月29日 昭和39年中の企業倒産4212件、負債総額4631億余円でいずれも最高記録と東京興信所が発表。



4
21日 「週刊読売」誌に「金が何さ」を発表する。

610日 中央公論社から『西遊記第8巻・ああ世も末の巻』を刊行する。

7月 「いどばた論語」を日本経済新聞の婦人欄に連載(昭和395月まで)。

・30社ある顧問先の企業のうち18社からコンサルタント会員を退会したいという申し出を受ける。

17日  証券会社主催の千葉市での講演会で「株は総売り」とぶつ。
18日  ケネディ大統領、利子平衡税を発表。翌々日から株価大暴落が始まる。

8月15日、「日本を世界に売り出した人々」を「財界」誌に発表(要確認)

・事務所を引き払い、自宅にひきこもって歌謡曲の作詞に打ち込む。

10「日本証券新聞」に「株の中の人」の連載を始める(昭和3912月まで12ヶ月。(のち徳間書店から刊行の「株の体験」に収録。)。

31日、新説・二宮尊徳を春秋社から刊行する。
12月 ホテル・オークラで開かれたロータリ・クラブで「来年は経営者が頭を痛め、大株主が大損すると年」 と述べる。

       この年、自分の持株をすべて処分する。

・ 二軒目のビルを中野に建てる。

       藤城清治 影絵・トッパンのキンダ-絵本6「そんごくう」をフレ-ベル館から刊行する。

 

 (参考)
邱永漢著『株の体験』p249)

(社会の動き)

7月18日 アメリカ大統領ケネディが利子平衡税を含む国際収支特別教書を議会に提出。
  19日、東証が開所依頼の大暴落を記録する。
11
22日 
アメリカ大統領ケネディが暗殺される。ジョンソン副大統領昇格。
・この年、本田宗一郎氏が「俺の考え」を実業之日本社から刊行する。

・松下幸之助氏が営業部長代理になり、松下電器の退勢挽回に出て話題になる。


1月15日、中央公論社から『西遊記第6巻『経世済民の巻』をから刊行する。

・「歴史読本雑誌に「新説・二宮尊徳」(のち春秋社から「新説・二宮尊徳」として刊行)を連載する(昭和38年まで)。

7月22日、大屋普三、政子夫妻、東工大永井道雄夫妻、中央公論社社長嶋中鵬二夫妻を平町の家に招待する。

9月29日、中央公論社から『西遊記第7巻「道遠しの巻」を刊行する。

・東横線都立大学前から 池上線石川台(大田区雪谷)に転居する。

11月 婦人画報社から『食前食後-漢方の話』を刊行する。

この年、コインランドリーの店を八店に拡張する。

中野でスーパーマーケットをたてるため神戸三の宮にダイエーの中内功さんを訪れ,東京進出を促す。

 
(参考)
 邱永漢著『私の金儲け自伝』。同著『失敗のなかにノウハウあり』。

(社会の動き)

5月 市村清氏、高野精密工業(株)取締役社長に就任、再建に乗り出す。

1115日 林周二東大助教授が『流通革命』(中公新書)を出版する。

(注)
『邱飯店メニュー』では「話の特集にお世話いただく人たちとの会食」が昭和3710月のことと記されている。しかし、矢崎泰久氏は『話の特集』創刊は昭和412月で、邱永漢に経営に参加してもらったのは昭和4210月以降で、昭和3710月は間違いで昭和4210月と指摘。(『話の特集』と仲間たち』p198)。ここではこの矢崎氏の指摘に従う。     



1月2日「週刊公論」「会社拝見⑨オリンピック産業の本命~佐藤工業株式会社」を発表する。

・16日「週刊公論」(9日・16日合併号)に「会社拝見⑩トランジスタ時代の裏方~ミツミ電機株式会社」を発表する。

・23日、「週刊公論」に「会社拝見⑪土木機械に花が咲く~日特金属工業株式会社」を発表する。

・30日、週刊公論」に「会社拝見⑫好況を呼ぶ虹の架け橋~株式会社宮地鉄工所」を発表する。

「サンケイ新聞」証券欄に「もうかりまっか」の連載を始める(5月まで。のち筑摩書房から刊行 の「もうかりまっか」に収録)。

2月1日 栗田工業の栗田社長らを自宅の食事に招待する。

・6日「週刊公論」に「会社拝見⑬背広で稼ぐ30億円~樫山株式会社」を発表する
・13日
「週刊公論」に「会社拝見⑭足を制するもの天下を制す~千代田シューズ株式会社」を発表する
・20日
「週刊公論」に「会社拝見⑮日本を被う電線の網~日立電線株式会社」を発表する。
・27日
「週刊公論」に「会社拝見⑯」「荷役運搬の合理化を目指す~東洋運搬機株式会社」(2月27日号)発表する。

3月 講談社刊「少年少女世界文学全集42巻・東洋編」に『台湾民話』(収録)を発表する。

・6日「週刊公論」に「会社拝見⑰」「技術革新を支える黒い企業~日本カーボン株式会社」(3月6日号)を発表する。

・13日「週刊公論」に「会社拝見⑱」「白の魅力を作りだす企業~石原産業株式会社」を発表する。

・20日「週刊公論」に「会社拝見⑲」「アルミは文化の尺度なり~日本軽金属株式会社」を発表する。

・27日「週刊公論」に「会社拝見はじまった事務機械革命~理研光学工業株式会社」を発表する。

4月3日 「週刊公論」に「会社拝見最終回気のつかぬ場所で稼ぐ企業~日本オイルシール工業株式会社」を発表する。

6月1日 南北社から『キチガイ日本』を刊行する(のちに邱永漢ベストシリーズ「クレージー日本」と改題して収録)。
  10日 朝日新聞社から「投資家読本」(のちに「私の株式投資必勝法」と改題し、邱永漢自選集7巻ならびに邱永漢ベストシリーズ10に収録)を刊行する。

7月25中央公論社から『西遊記第5巻・色は匂えどの巻』を刊行する。

  30日 角川書店から『投資家のための会社拝見』を刊行する。

915日筑摩書房から「もうかりまっか」(邱永漢自選集7巻ならびに邱永漢ベストシリーズ10「私の株式投資必勝法」に収録)を刊行する。

1120。経済春秋社から株式投資対談集「これが成長株だ」を刊行する。

30日 角川書店から出版の『世界の人間像5』(世界の新聞王=ジョセフ・ピュ-リツァー著、佐藤亮一訳;富と福音=カーネギー自伝、坂西志保訳;父の映像=渋沢栄一、渋沢秀雄著;根生の新聞人=村山隆平、松浦直治著)に「実業家の伝記について」と題する解説文を掲載。

○「アプレ永代蔵」を「小説新潮」に連載(時期未確認))

・この年、セルフサービスのドライクリーニング業を始める。

・中野でスーパーマーケット用のビルを建てることにし、神戸三宮で「主婦の店・ダイエー」を出店している中内功に東京進出を促す。 

(参考)
邱永漢著『投資家のための会社訪問』。
(社会の動き) 


1月 『週刊公論』1月5日・12日合併号に株式評論「株はおとなのお猿電車」を発表する。

2月 『宝石』誌に短編推理小説「視線と刃物」を発表する。

・『歴史読本』2月号に「長いばかりが歴史ではない」を発布する。

35日 中央公論社から『象牙の箸』を刊行する。『あまカラ』誌に「象牙の箸」に引き続き「食前食後・漢方の話」を連載する。

・松竹からの依頼により脚本を書いた「親株子株」が上演される。

5月 『宝石』誌に短編推理小説「教祖と泥棒」を発表する。

7月 『婦人公論』誌に私の株式投資必勝法」を連載(9月号まで3回。のち朝日新聞社から刊行の『投資家読本』に収録する)。

・NHKから「マイク片手に」の番組に登場するようにとの話があり、株式取引所の取材や証券業界の論客と対談する。

81日 短編推理小説集被害者は誰だ』を光文社から刊行する(「被害者は誰だ」「懲役5年」「麻薬王」「恐喝者」「視線と刃物」「教祖と泥棒」を収録)。

 13日 市村清さんらを平町の自宅に招待する。

915日 中央公論社から西遊記第4巻 風餐露宿の巻を刊行する。
10月 12日 徳島に向かう水上飛行機で大蔵大臣、佐藤榮作氏と会話する。

11月 8日『週刊公論』誌に「会社拝見①」「オートメーション計器~山武ハネウエル計器株式会社」を発表する。
  15日
「週刊公論」に「会社拝見②」「日本地図を書きかえる企業~三井不動産株式会社」を発表する。
  22日 
「週刊公論」に「会社拝見③」「花ひらく整流器メーカー~オリジン電気株式会社」(1122日号)を発表する。
  29日 
「週刊公論」に「週刊公論」に「会社拝見④」「ミルクいっぱいの成長会社~雪印工業株式会社」を発表する。

12月6日「週刊公論」に「会社拝見⑤」「石油化学ブームの推進力~千代田化工建設株式会社」を発表する。
  13日「週刊公論」に「会社拝見⑥」「からっ風が生んだプレス機械~株式会社小島鉄工所」を発表する。
  20日「週刊公論」に「会社拝見⑦」「真白きトイレット産業~東洋陶器株式会社」を発表する。
  27日「週刊公論」に「会社拝見⑧」「金属関係の技術センター~理研ピストリング工業株式会社

 を発表する。
この年、妻の勧めにより、株を売った金でビルを建てることにする。その際、累進税率の餌食になることを恐れ、
「株式会社邱永漢事務所」を設立し、個人で買った渋谷の33坪の土地を会社名義で買い直すことにする。(出典:『私は77歳で死にたい』p 210p〜214)


(参考)

邱永漢著『金銭読本』。同著『私の株式投資必勝法』。同著『投資家のための会社拝見」。同著『邱飯店のメニュー』。同著『失敗の中にノウハウあり』。同著『邱飯店のメニュー』 。

(社会の動き)
1月 三井三池争議、組合側無期限ストに突入。
2月 東証ダウ1000円の大台を突破。
5月 自民党、衆議院で新安保条約を単独強行採決。全学連主流派、首相官邸に乱入。
610日 アメリカ大統領のハガチー、羽田で学生デモに包囲され、米軍ヘリで脱出。6月15日、全学連、国会に乱入。
7月池田勇人内閣成立
10月2日 浅沼社会党委員長、刺殺される。
11月 池田内閣が「所得倍増計画」を打ち出し、経済成長率9%などの施政方針を表明(「昭和35年の池田勇人内閣以降、いわゆる高度成長期に入ると、日本の企業の資金需要は一段と強くなる」)。
    
 

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