1月 
求美社が 『求美 NO6・特集海外画家の作品価値をどう考える』を刊行する

4月 求美社が 『求美 NO7 彫刻市場の可能性』を刊行する。

・「中央公論経営問題‘71臨時増刊」に「万年不況!何を頼りに生きようか」)を発表 する(のち世の中どう変わるに収録)。

・久しぶりに株を買う気を起こし、30日すぎから新聞の相場欄を見る。
・春、コインランドリーの商売を人に譲る。 

5月「週刊現代」に「私の金儲け自伝」の連載を始める(8月まで)。
  「サンデー毎日」誌 で、小島政二郎、小島視英子両氏と座談。

610日 日本実業出版社から『邱永漢・もうけ話』を刊行する(ホンダの本田宗一郎、ブリジストンタイヤの石橋正二郎、スパーダイエーの中内功、来島ドックの坪内寿夫、マザック旋盤、山崎鉄工所の山崎照幸、森ビルの森案吉郎、ムトウの武藤鉄司、川島紡績の川島勘市、日動画商の長谷川仁、日本ヴォーグの瀬戸忠信、手塚式ゴミ処理プラントの手塚国利、ヒグチ・チェーンの樋口俊夫、手芸糸ハマナカの浜中利基、ハンドラベラーの佐藤陽、、熱帯魚日本一になった学友の竹腰宏、以上15名の方々の起業ものがたちを描写)。

 11日 東京スポーツ新聞社から『邱永漢の金儲け相談室』を刊行する(「事業」、「家計」、「株」、「不動産」の4種類別の「相談室」構成で、「事業相談室」は《三菱自動車の販売店へのPR誌「ダイア通信」で店主を対象に執筆した作品》、「家計相談室」は《「マダム」に執筆一家の財産経営に関する作品》。「株式相談室」は《第一製薬の機関紙「メジカル・ニュース」に連載した作品》、「不動産相談室」は《建設業者向けの雑誌「ハウジング」に連載した作品》の各作品収録)
・日本経済新聞の夕刊「知恵袋」欄に7、8年ぶりに株の話を書く。
・日本証券新聞で弱気を吐く。
7月・ 
求美社が『求美 NO8・19世紀絵画の市場と将来性』を刊行する。

  19日、日本経済新聞社から『銀行とつきあう法』刊行する。
・円切り下げが近づいたら株は買えないと考え、大阪での講演で「株は全部売りなさい」と述べる。

816日、米大統領ニクソンのドル防衛声明(10%の輸入課徴金)で日本の株式市場大暴落。朝日新聞社から「これからの日本経済はどうなるだろうか」と電話でインタビューを受け、「現金を持っていたのではダメ。これからは収入のある形態の不動産投資をやるのがいいだろう」と答える。
・「ニクソンの10%の課徴金の発表は実質的な円の切り上げであるが、対米輸出で日本と競争関係にある台湾、韓国、香港その他の諸国も同じようにされる点で円切り上げよりも日本にとって有利で、この程度のハンディなら、日本の企業はそう大した打撃を受けることにはならない。ダウ平均2千百円か2百円台なら買える株があるのではないか」と考え、雑誌にこれから買える株について銘柄を挙げ値段も書き、自分も買う。

928日 円の相場制が実施され株の暴落を予感し、その翌日株式市場が更に暴落をして書いたものが週刊誌に載り、自分の見通しの悪さを広告することになるのではないかと寝苦しい一晩を送る。
 29日 、株の相場は暴落どころか、逆に少しばかり高めに終わり、各界の指標銘柄としてあげた8銘柄のうち、大隈鉄工を除いた東亜港湾、富士写真、資生堂、東陶、大福機工、立石電機、東急不動産はいずれも値上がりを見せ、相場感覚はまだ衰えていないかのような動きになる。

10月 日本証券新聞で「株式投資の実際」の連載を始める(11月まで)。

 10日、徳間書店から『邱永漢自選集第8巻「私の金儲け自伝」』(「私の金儲け自伝」・「日本天国論」を収録)、『邱永漢自選集第2巻『香港・刺竹』」を刊行する。
・「金儲け未来学」を邱永漢自選集各巻の月報に連載(昭和47年7月まで)。
求美社が『求美 NO9』を刊行する。
 26日、国民政府が国連を脱退。アメリカが蒋介石に「二つの中国」を持ちかけたが、大陸反攻の夢から醒めやらない蒋介石がそれを拒否したためで、「二つの中国」なら南北朝鮮の形が考えらたが、「一つの中国」では台湾の独立は少なくとも自分が生きている間にはあり得ないと判断する。

1210日 徳間書店から『邱永漢自選集「4巻サムライ日本」』を刊行する(「サムライ日本」・「キチガイ日本」を収録)。

・年末、台湾国民政府の使者が来日し、台湾への帰国の要請を受ける。
・来年の経済予想は円切り上げになれば株価が下がるだろうというのが大方の経済専門家の考えであったが、株価は悪い材料を織り込んでいるからむしろ高くなると考え、47年いっぱいかけ3200円になろうと発言。
・この年、アメリカが蒋介石に「二つの中国」を持ちかけたところ、大陸反抗の夢覚めやらず、国民政府が国連を脱退したのを見て、「台湾独立のチャンスはもうない」と 判断する(*)。

・渋谷ビジネスホテルを開業する(要・時期確認)。
・渋谷の公園通りでマンションを購入する。
・車をベンツからロールス・ロイスに変える。
 
  
(参考)
邱永漢著 『
世の中どう変る』。(*)同著『中国株は成長株の時代』(p120〜121)

(社会の動き) 
4月(台湾)
楠梓(高雄市)、台中輸出加工区完成。 
7月 (米国)キッシンジャー大統領補佐官、秘密裏に訪中。
8月 (米国)ニクソン大統領、ドル防衛策発表。
10月 (中国)国連に加盟。
   (台湾)国連を脱退。